技術用語解説

レーザ関連

抵抗溶接関連

金属の接合は、対象物を互いに溶かして接合する溶融溶接、固体同士を接合する固相接合、融点の低い合金(ろう)を溶かして母材自体を溶かさずに接合するろう付けの3つに大別されます。抵抗溶接は溶融溶接、はんだ付けはろう付けに区分されますが、ヒュージングは固相接合です。ヒュージングはリード線に電流を流して被膜を剥離することによって電気的に導通させてから、端子と芯線のかしめ力で圧接して強度を確保する熱かしめを行います。ヒュージングは、人体に有害な鉛はんだを使わない環境に配慮した接合です。モーターのコイル線とコミュニテーターの接続、あるいはリレー部品などの各種成形ボビンでコイル線の巻き始め、 巻き終わりと端子の接続など、被膜線と端子が機械的、電気的な接続を必要とするものは数多くあります。

■ヒュージングの原理

① 被覆線端を端子に機械的に係止させた後、上下電極で端子を加圧し電流(WELD1)を流します。電流は最初、端子のみを流れますが、この電流によって溶接電極先端と端子が発熱し、端子に接している銅線の温度も上昇します。

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② 銅線を被覆している樹脂は熱可塑性のため熱と加圧力により軟化し、端子部から押し出され、銅線が端子と導通状態になります。

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③ 許容通電量が大きくなった(端子-銅線-端子と通電経路ができた)時点で電流(WELD2)を大きくして端子と銅線を溶接します。
ヒュージングは出力波形の制御が可能な溶接電源が必要です(アップスロープ通電ができること)。
一般的には交流式溶接電源、インバーター式溶接電源を使います。
〈溶接電源出力波形イメージ図〉

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■ヒュージングの種類

〈フックタイプ〉
U字型の端子にリード線を包み込んで接合します。
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〈スリットタイプ〉
コミュテーターなどの溝にリード線を押し込んで圧接します。

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■従来技術と問題点

一般にフランジを有する成形ボビンの多くはそのフランジを利用して端子が設けてあり、コイル装置を製造する 際はコイル線の巻き始め、巻き終わりの両端を端子に接続しますが、従来は電線端の被覆材を剥離した後、端子にはんだ付けが主流でした。 しかも、一般的に使用される線材は線径が細いため機械的に剥離することが難しく、ポリウレタン系のように 比較的低温で溶融する被覆の場合は、端子に巻き付けた状態ではんだディップを行いますが、その際溶融したはんだの飛沫がコイル部分に付着するとショートなどの故障の原因になります。また、耐熱温度が高い被覆(ポリイミド系)の場合には、はんだの温度を従来よりも高く設定しなければならず、 危険性が増します。
さらに、剥離剤で化学的に剥離を行った場合、毛管現象で剥離剤がコイル内部まで浸透して故障の原因になることがありました。 剥離剤を使用する場合も機械的に剥離する場合も、作業能率が悪く自動化は困難でした。
RoHS指令で『有害物質である鉛の使用禁止』の影響もあり、はんだレスでの接合工法が見直されてきています。

■ヒュージングの注意点

端子を変形させて被膜を剥離するために、電流や加圧力を適切に設定する必要があります。電極は、常に一定の発熱量を保つように一定の位置をクランプし必要に応じて研磨や交換をしてください。通電方法は、WELD1で端子を変形させてからWELD2で被膜を剥離させる2段通電が一般的です。安定したヒュージングのためには、あらかじめ端子をヒュージングしやすい形に変形させておくことが好ましいです。